医療法人の業務範囲

医療法人の業務範囲
<平成26年3月19日現在>
○医療法人は病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施
設の開設を目的として設立される法人です。(医療法第39 条)
○医療法人は、その開設する病院、診療所又は介護老人保健施設の業務に支障のない
限り、定款又は寄附行為の定めるところにより、次に掲げる業務の全部又は一部を
行うことができる。(医療法第42条各号)なお、附帯業務を委託すること、又は
本来業務を行わず、附帯業務のみを行うことは医療法人の運営として不適当である
こと。
医療法第42条
第1号 医療関係者の養成又は再教育
・ 看護師、理学療法士、作業療法士、柔道整復師、あん摩マツサージ指圧
師、はり師、きゆう師その他医療関係者の養成所の経営。
・ 後継者等に学費を援助し大学(医学部)等で学ばせることは医療関係者
の養成とはならないこと。
・ 医師、看護師等の再研修を行うこと。
第2号 医学又は歯学に関する研究所の設置
・ 研究所の設置の目的が定款等に規定する医療法人の目的の範囲を逸脱
するものではないこと。
第3号 医療法第39条第1項に規定する診療所以外の診療所の開設
・ 巡回診療所、医師又は歯科医師が常時勤務していない診療所(例えば、
へき地診療所)等を経営すること。
第4号 疾病予防のために有酸素運動(継続的に酸素を摂取して全身持久力に関する
生理機能の維持又は回復のために行う身体の運動をいう。)を行わせる施設
であって、診療所が附置され、かつ、その職員、設備及び運営方法が厚生労
働大臣の定める基準に適合するものの設置(疾病予防運動施設)
・ 附置される診療所については、
① 診療所について、医療法第12条の規定による管理免除又は2か所管
理の許可は原則として与えないこと。
Ⅰ.本来業務
Ⅱ.附帯業務
② 診療所と疾病予防運動施設の名称は、紛らわしくないよう、別のもの
を用いること。
③ 既設の病院又は診療所と同一の敷地内又は隣接した敷地に疾病予防
運動施設を設ける場合にあっては、当該病院又は診療所が疾病予防運動
施設の利用者に対する適切な医学的管理を行うことにより、新たに診療
所を設けなくともよいこと。
※「厚生労働大臣の定める基準」については、平成4年7月1日厚生省告
示第186号を参照すること。
第5号 疾病予防のために温泉を利用させる施設であって、有酸素運動を行う場所を
有し、かつ、その職員、設備及び運営方法が厚生労働大臣の定める基準に適
合するものの設置(疾病予防温泉利用施設)
・ 温泉とは温泉法(昭和23年法律125号)第2条第1項に規定するも
のであること。
・ 疾病予防のために温泉を利用させる施設と提携する医療機関は、施設の
利用者の健康状態の把握、救急時等の医学的処置等を行うことのできる体
制になければならないこと。
※「厚生労働大臣の定める基準」については、平成4年7月1日厚生省告
示第186号を参照すること。
第6号 保健衛生に関する業務
・ 保健衛生上の観点から行政庁が行う規制の対象となる業務の全てをい
うのではなく、次のⅠ、Ⅱに記載される業務であること。
Ⅰ.直接国民の保健衛生の向上を主たる目的として行われる以下の業務で
あること。
① 薬局
② 施術所(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律、
柔道整復師法に規定するもの。)
③ 衛生検査所(臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律に規定する
もの。)
④ 介護福祉士養成施設(社会福祉士及び介護福祉士法に規定するもの。)
⑤ 介護職員養成研修事業(地方公共団体の指定を受けて実施するもの。)
⑥ 難病患者等居宅生活支援事業(地方公共団体の委託を受けて実施する
もの。)
⑦ 病児・病後児保育事業(地方公共団体の委託又は補助を受けて実施す
るもの。)
⑧ 介護保険法に規定する訪問介護、通所介護、通所リハビリテーション、
短期入所生活介護、短期入所療養介護、認知症対応型通所介護、小規模
多機能型居宅介護、介護予防訪問介護、介護予防通所介護、介護予防通
所リハビリテーション、介護予防短期入所生活介護、介護予防短期入所
療養介護、介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居
宅介護若しくは複合型サービス(小規模多機能型居宅介護及び訪問看護
の組合せに限る。)又は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援
するための法律にいう障害福祉サービス事業、一般相談支援事業、特定
相談支援事業、移動支援事業、地域活動支援センター若しくは福祉ホー
ムにおける事業と連続して、又は一体としてなされる有償移送行為であ
って次に掲げるもの。
ア 道路運送法(昭和26年法律第183号)第4条第1項の規定に
よる一般旅客自動車運送事業
イ 道路運送法第43条第1項の規定による特定旅客自動車運送事業
ウ 道路運送法第78条第3号又は第79条の規定による自家用有償
旅客運送等
※ 介護保険サービス、障害福祉サービスとの関連性が求められ、
保険給付の対象とはならず実費徴収の対象となる業務であること。
例えば、「乗降介助」の際の移送事業部分の実費徴収、通所サー
ビス等における遠隔地からの送迎費の実費徴収などについて、道
路運送法の規定により許可を得て行う業務であること。
※ 道路運送法の許可を得ずに介護保険サービス又は障害福祉サー
ビスの対象となる移送事業を行うことはできないこと。
※ いわゆる「介護タクシー」のように旅行や買い物といった介護
保険サービス、障害福祉サービスとの関連性を有しない業務は当
該有償移送行為に該当せず、医療法人の附帯業務ではないこと。


⑨ 介護保険法にいう居宅サービス事業、居宅介護支援事業、介護予防サ
ービス事業、介護予防支援事業、地域密着型サービス事業、地域支援事
業、保健福祉事業、指定市町村事務受託法人の受託事務及び指定都道府
県事務受託法人の受託事務のうち、別添において「保健衛生に関する業
務」とするもの。
⑩ 助産所(改正法第2条に規定するもの。)
⑪ 歯科技工所(歯科技工士法に規定するもの。)
⑫ 福祉用具専門相談員指定講習(介護保険法施行令に規定するもの。)
⑬ 高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成23年法律第32号。)
第5条に規定するサービス付き高齢者向け住宅の設置。ただし、都道府
県知事の登録を受けたものに限る。
※1 高齢者の居住の安定確保に関する法律等の一部を改正する法
律(平成23年法律第74号。以下「改正法」という。)の施行
の際現に改正法による改正前の高齢者の居住の安定確保に関す
る法律(平成13年法律第26号)第4条に規定する高齢者円滑
入居賃貸住宅の登録を受けている高齢者専用賃貸住宅であって、
医療法人が設置しているものについては、改正法の施行後も、そ
の要件を継続して満たし、その居住者に対し、次に掲げるいずれ
かのサービスの提供を継続的に行うことを約しているものに限
り、当面の間、医療法人が設置することができるものとすること。
(1) 居住者に対する生活指導や相談に応じるサービス
(2) 居住者の安否を定期的に確認するサービス
(3) 居住者の容体急変時における応急措置、医療機関への通報
等の緊急時対応サービス
※2 高齢者の居住の安定確保に関する法律の一部を改正する法律
(平成21年法律第38号。以下「平成21年改正法」という。)
附則第1条第1号に掲げる規定の施行の際現に平成21年改正
法による改正前の高齢者の居住の安定確保に関する法律第4条
に規定する高齢者円滑入居賃貸住宅の登録を受けている高齢者
専用賃貸住宅であって、医療法人が設置しているものについては、
平成21年改正法附則第4条第1項の規定により登録の効力が
失われた場合であっても、その要件を継続して満たし、上記(1)
から(3)までに掲げるいずれかのサービスの提供を継続的に行
うことを約しているものに限り、当面の間、医療法人が設置する
ことができるものとすること。
※3 ※1及び※2については、賃貸住宅の戸数を増やしてはならな
い。
⑭ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整
備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」と
いう。)第2条第5号に掲げる特定労働者派遣事業であって、労働者派
遣法第4条第1項第3号及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び
派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令(昭和61年政令第
95号。以下「労働者派遣法施行令」という。)第2条第1項の規定に
より派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務から
除外されている労働者派遣で次に掲げるもの。
(1) 労働者派遣法施行令第2条第1項各号に掲げる業務
ア 労働者派遣法第2条第6号に掲げる紹介予定派遣をする場合
イ 労働者派遣法第40条の2第1項第3号又は第4号に該当する場

ウ 労働者派遣法施行令第2条第1項各号に規定する施設又は居宅以
外の場所で行う場合
(2) 労働者派遣法施行令第2条第1項第1号に掲げる業務
エ 派遣労働者の就業の場所が労働者派遣法施行令第2条第2項に規
定するへき地にある場合
オ 派遣労働者の就業の場所が地域における医療の確保のためには
労働者派遣法施行令第2条第1項第1号に掲げる業務に業として
行う労働者派遣により派遣労働者を従事させる必要があると認め
られるものとして労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労
働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則(昭和61年労働省
令第20号)第1条第1項各号に掲げる場所(へき地にあるものを
除く。)である場合(ただし、医療法施行規則(昭和23年厚生省
令第50号)第30条の33の2第2項により、業として労働者派
遣を行うことができる医療法人は、病院又は診療所を開設する医療
法人に限る。)
⑮ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第7
7条に規定する地域生活支援事業として実施する日中一時支援事業(地
方公共団体の委託又は補助を受けて実施するもの。)
⑯ 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)第
34条に規定する障害者就業・生活支援センター
⑰ 健康保険法(大正11年法律第70号)第88条第1項に規定する訪
問看護事業
⑱ 学校教育法(昭和23年法律第26号)第1条に規定する学校、同法
第124条に規定する専修学校及び同法第134条第1項に規定する
各種学校並びに児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条第1
項に規定する保育所及び同法第59条第1項に規定する施設のうち、
同法第39条第1項に規定する業務を目的とするもの(以下、「認可外
保育施設」という。)において、 障害のある幼児児童生徒に対し、看
護師等が行う療養上の世話又は必要な診療の補助を行う事業
※ 病院又は診療所によるものは、医療法人の本来業務に該当すること。
⑲ 認可外保育施設(児童福祉法第34条の15に規定する家庭的保育事
業その他これに類する事業が行われる認可外保育施設を除く。)であっ
て、地方公共団体がその職員、設備等に関する基準を定め、当該基準に
適合することを条件としてその運営を委託し、又はその運営に要する費
用を補助するもの。
⑳ 医療法人の開設する病院又は診療所の医師が栄養・食事の管理が必
要と認める患者であって、
・ 当該医療法人が開設する病院若しくは診療所に入院していた者若し
くは通院している者、
・ 又は当該医療法人が開設する病院、診療所若しくは訪問看護ステー
ションから訪問診療若しくは訪問看護を受けている者
に対して、当該医療法人が配食を行うもの。
※ なお、例えば3年前に入院して現在は受診していないような者は対
象外となること。
Ⅱ.国際協力等の観点から、海外における医療の普及又は質の向上に資す
る以下の業務であること。
海外における医療施設の運営に関する業務
※ 当該業務を実施するに当たり必要な現地法人への出資も可能とする
こと。その際、出資の価額は、繰越利益積立金の額の範囲内とする。
※ 具体的な運用に当たっては、「医療法人の国際展開に関する業務に
ついて」(平成26年医政発0319第5号厚生労働省医政局長通知)
を参照すること。
第7号 社会福祉法第2条第2項及び第3項に掲げる事業のうち厚生労働大臣が定
めるものの実施
※ 平成10年2月9日厚生省告示第15号及び本通知の別添を参照する
こと。
※ 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法
律(平成18年法律第77号)第3条第1項第2号の認定こども園(ただ
し、保育所型のみ。)の運営は、上記告示の第1項第2号ロに包括される
こと。
第8号 有料老人ホームの設置(老人福祉法に規定するもの。)
留意事項
1.役職員への金銭等の貸付は、附帯業務ではなく福利厚生として行うこと。この場
合、全役職員を対象とした貸付に関する内部規定を設けること。
2.第7号については、社会医療法人のみに認められるものがあること。
3.定款等の変更認可申請とは別に、個別法で定められた所定の手続(許認可、届出
等)を要する場合があること。この場合、個別法の手続の前に定款等の変更認可申
請をする必要があるが、手続を並行して行う場合は、各手続の進捗状況に伴い、定
款等の変更認可日が後れることは、やむを得ないこと。
○社会医療法人は、その開設する病院、診療所又は介護老人保健施設の業務に支障のない限り、
定款又は寄附行為の定めるところにより、その収益を当該社会医療法人が開設する病院、診
療所又は介護老人保健施設の経営に充てることを目的として、厚生労働大臣が定める業務
(収益業務)を行うことができます。
(平成18 年法律第84 号附則第8 条、平成19 年厚生労働省告示第92 号、改正前の医療法第
42 条第2項)
収益業務の種類
収益業務の種類は、日本標準産業分類(平成14 年3月7日総務省告示第139 号)に定め
るもののうち、次に掲げるものです。
①農業
Ⅲ.収益業務
②林業
③漁業
④製造業
⑤情報通信業
⑥運輸業
⑦卸売・小売業
⑧不動産業(「建物売買業、土地売買業」を除く。)
⑨飲食店、宿泊業
⑩医療、福祉(病院、診療所又は介護老人保健施設に係るもの及び医療法第42 条各号に
掲げるものを除く。)
⑪教育、学習支援業
⑫複合サービス事業
⑬サービス業
(注)医療法関係法令の規定に基づく定款・寄附行為変更の手続き以外に、それぞれの業
務に係る関係諸法令に基づく許認可、届出等の手続きが必要です。
業務要件
収益業務については、次に掲げる要件を満たすものに限られるものであり、その規模、
内容等についても、規則第30 条の35 の2 の要件を満たすものであるほか、法の規定によ
り設立された法人の行う業務として社会的に許容される範囲内のものであることに十分
留意する必要があります。
① 一定の計画の下に収益を得ることを目的として反復継続して行われる行為であって、
社会通念上業務と認められる程度のものであること。
② 医療法人の社会的信用を傷つけるおそれがあるもの(注)でないこと。
③ 経営が投機的に行われるものでないこと。
④ 当該業務を行うことにより、当該医療法人の開設する病院、診療所又は介護老人保健
施設の業務の円滑な遂行を妨げるおそれがないこと。
⑤ 当該医療法人以外の者に対する名義の貸与その他不当な方法で経営されるものでな
いこと。
(注) 「社会的信用を傷つけるおそれがあるもの」とは、風俗営業、武器製造業、遊戯場
などをいいます。
○開設する病院等の業務の一部として又はこれに附随して行われるものは収益業務に含まれ
ず、特段の定款変更等は要しません。(附随業務として行うことが可能)
附随して行われる業務とは、次に掲げるものです。
Ⅳ.附随業務
① 病院等の施設内で当該病院等に入院若しくは通院する患者及びその家族を対象として
行われる業務又は病院等の職員の福利厚生のために行われる業務であって、医療提供又は
療養の向上の一環として行われるもの。
したがって、病院等の建物内で行われる売店、敷地内で行われる駐車場業等は、病院等
の業務に附随して行われるものとされ、敷地外に有する法人所有の遊休資産を用いて行わ
れる駐車場業は附随する業務に含まれないものとして取り扱います。
② 病院等の施設外で当該病院に通院する患者を対象として行われる業務であって、当該病
院等において提供される医療又は療養に連続して行われるもの。
したがって、当該病院等への、又は、当該病院等からの患者の無償搬送は、病院等の業
務に附随して行われるものとされ、当該病院等以外の病院から同じく当該病院等以外の病
院への患者の無償搬送は附随する業務に含まれないものとして取り扱います。
③ ①及び②において、当該法人が自らの事業として行わず、当該法人以外の者に委託して
行う場合にあっては、当該法人以外の者が行う事業内容が、①又は②の前段に該当するも
のであるときは、当該法人以外の者への委託は附随する業務とみなし、①又は②の前段に
該当しないものであるときは、附随する業務に含まれないものとして取り扱います。

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