埼玉県におけるサービス付き高齢者向け住宅の生活支援サービス提供に係る留意事項
T. この要領は、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13年法律第26号。以下「法」という。)第5条に規定する「サービス付き高齢者向け住宅」の運営にあたり、入居者への生活支援サービス提供に際して留意すべき事項について示すものです。
U. サービス付き高齢者向け住宅の生活支援サービス提供においては、法の規定及び国土交通省・厚生労働省関係高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則(平成23年厚生労働省令・国土交通省令第2号。)の規定のほか、次の各号に留意してください。
1 処遇の規程関係
(1) 「住宅」と「施設」との違い
ア. 外部からの訪問者や入居者の出入りが自由であることです。住宅ですので、入口等の構造は、入居者の希望があれば24時間外部から人が訪ねて来ることができる構造であり、運営規程も対応している必要があります。(例えば、深夜、外部の訪問介護事業者が介護に訪問したり、自由な時間帯に友人や出前や宅配業者を居室に入れることができる必要があります。「面会時間の制限」や外部の人の訪問に「許可」が必要な場合は、社会通念上住宅ではなく「施設内居室」と考えます。)
イ. 管理人の関与については、上記アのような場合、住宅の管理人などが「外部への連絡を取る」、「入口の解錠操作を行う」などの規程になっていたとしても、サービス付き高齢者向け住宅の提供する見守りや日常生活上の世話の一環として位置づけられ、24時間対応しているのであれば可能です。
ウ. 常時の施錠については、住宅であるため玄関入口の常時ロックは望ましくありませんが、認知症の方の行方不明を防ぐため、外出について解錠を必要とする場合は、そのような運営である旨を明示するとともに、入居者が外出する際は対応できる体制としてください。
2 契約関係
(1) 介護保険サービスでないことの記載
サービス付き高齢者向け住宅が提供する生活支援サービス部分は、介護保険によるサービス提供ではないことを明記してください。
(2) サービス価格等の明示
住宅内で提供される生活支援サービス提供契約に基づくサービスに関し、サービスメニューとそれぞれの金額や提供の条件を分かりやすく記載してください。
(3) 事業者選択自由の記載
ア 入居者が個別に契約して外部の介護保険サービスを利用する場合、住宅内でいわゆる「囲い込み」が行われないよう、事業者の選択は自由であることを明示してください。
イ 入居契約書や入居の手引きで、住宅の運営主体と同一法人の介護保険事業所の利用を必須とするような記載は認められません。(介護保険サービス事業所を複数紹介する選択肢のひとつとすることは差し支えありません。)
(4) 住所地特例
住所地特例が適用される住宅の場合、入居者に対する住所地特例の案内と手続きの支援を行ってください。
3 その他
(1) 苦情対応
住宅内で提供される生活支援サービスに関し、運営事業者が設置する苦情対応窓口及び県等の公的な苦情相談等の窓口を明示してください。
(2) 個人情報保護
運営事業者は、居住者の個人情報を扱うこととなるため、従業者に守秘義務(退職後も含む)を課し、それを明示してください。
(3) 同一建物内で同一法人が設置運営する通所介護事業所等の設備の取い
ア 特別浴槽や大浴槽について
同一建物内で同一法人が運営する通所介護事業所等が設置するものであって、当該事業所等の営業時間外に限り、同一住宅内の浴室として取り扱って差し支えありません。したがって、通所介護事業所等の営業時間外の浴槽を使用して、訪問介護事業者が入居者に入浴介護を行った場合であっても、介護報酬を算定して差し支えありません。
イ 機能訓練室等浴槽以外の設備について
(ア) 時間延長サービス体制「対応可」の事業所にあっては、通常、延長利用者に対して専ら用いる必要があることから、営業時間以外であっても利用は認められません。
この取扱いは、当日の延長利用者の有無にかかわらず適用します。
(イ) 時間延長サービス体制「対応不可」の事業所については、営業時間外については、アと同様の取扱いとします。
V. 「特定施設入居者生活介護事業」の指定を併せて検討する場合については、次の各号に留意してください。
1 建物の構造、設備等について
「特定施設入居者生活介護事業」を行う場合、要介護度が重度の方も受け入れて、介護保険事業者として施設に準じた介護を行う必要があります。このため、県の指定に当たっては、サービス付き高齢者向け住宅の登録手続きとは別に、厳格な判断を行います。
2 指定の制約について
また、指定に当たっては、介護保険法第70条第5項の規定により、埼玉県高齢者支援計画で定めた老人福祉圏域ごとの必要利用定員総数の制限に加え、関係市町村長に指定に関して意見を求めることになっています。
3 市町村、県への事前相談について
このため、サービス付き高齢者向け住宅を予定している事業者で、併せて「特定施設入居者生活介護」の指定を希望する場合は、以上の点についてあらかじめ御留意の上、計画段階で、事前に設置予定の市町村及び当該市町村を所管する県の福祉事務所等に御相談ください。
4 地域密着型特定施設入居者生活介護の指定について
介護保険法第8条第19項の「地域密着型特定施設入居者生活介護」(介護専用型特定施設で入居定員が29人以下であるもの)については、市町村が指定を行いますので、設置予定の市町村にあらかじめ御相談ください。(この場合であっても、サービス付き高齢者向け住宅の登録は県が行います。)
附則
この要領は、平成23年10月20日から施行する。