小規模多機能型居宅介護事業の介護報酬・料金等

 

 小規模多機能型居宅介護事業は優れたサービス形態で、介護の効果が期待できる事業ですが、実はあまり介護報酬が高くありません。デイサービスやグループホームなどのように、単独で事業所を設置しても、施設の建築費用を返済していけるだけの単価が設定されていません。それゆえに、小規模多機能型居宅介護事業所を単独で立ち上げて事業を行うには、それなりの工夫が必要と思われます。

 ここでは、小規模多機能型居宅介護事業の介護報酬や利用料金について説明し、さらに事業の採算性についても検証いたします。

■介護報酬計算の基本
 介護報酬は、原則として以下のように計算します。

 介護報酬 = (サービス毎に定められた単位数 + 加算単位数) × 地域別単価

 そして、原則として介護報酬の1割を利用者が事業所に対して支払い、残りの9割は保険でまかなわれます。(保険者である市町村が負担します。)

地域別単価について
地域別単価は、地域(特別区,特甲地,甲地,乙地,その他)によって、またサービスの種類によって異なり、10.00円〜10.72円の範囲で設定されています。
詳しくは、地域区分及びサービス別単価表をご覧ください。


■小規模多機能型居宅介護費について
 小規模多機能型居宅介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護のサービス提供に対する単位数は、以下のように要介護度別に定められています。

1.小規模多機能型居宅介護費
イ. 小規模多機能型居宅介護費(1月につき
(1) 経過的要介護 4,469単位 
(2) 要介護1 11,430単位 
(3) 要介護2 16,325単位 
(4) 要介護3 23,286単位 
(5) 要介護4 25,597単位 
(6) 要介護5 28,120単位 

月途中で登録または登録を解除した場合には、日割りで算定します。
利用者は1つの小規模多機能型居宅介護事業所に登録すると、他の事業所に登録することはできず、また、他の居宅サービスや地域密着型サービスの算定を受けることもできません。(福祉用具貸与などを除く。)

ロ. 初期加算 30単位 
事業所に登録した日から30日以内の期間については、初期加算として、1日につき上記の単位数を加算することができます。
30日を越える入院後に小規模多機能型居宅介護の利用を再開した場合も、同様です。

2.介護予防小規模多機能型居宅介護費
イ. 介護予防小規模多機能型居宅介護費(1月につき
(1) 要支援1 4,469単位 
(2) 要支援2 7,995単位 

月途中で登録または登録を解除した場合には、日割りで算定します。
利用者は1つの介護予防小規模多機能型居宅介護事業所に登録すると、他の事業所に登録することはできず、また、他の介護予防サービスや介護予防地域密着型サービスの算定を受けることもできません。(介護予防福祉用具貸与などを除く。)

ロ. 初期加算 30単位 
事業所に登録した日から30日以内の期間については、初期加算として、1日につき上記の単位数を加算することができます。
30日を越える入院後に介護予防小規模多機能型居宅介護の利用を再開した場合も、同様です。

3.その他の利用料等
 介護報酬以外の下記の利用料についても、利用者から受け取ることができます。
(1) 通常事業実施地域を越えて行う送迎に要する費用
(2) 通常事業実施地域を越えて行う訪問サービスに要する交通費
(3) 食事の費用
(4) 宿泊費用
(5) おむつ代
(6) その他日常生活において必要な費用


■小規模多機能型居宅介護事業の採算性について
 小規模多機能型居宅介護費の単位数表をご覧になるとお分かりにように、要介護3〜5に比べて要介護2、要介護1の単位が、格段に低くなっています。小規模多機能型居宅介護事業を導入するに当たって各方面での会議においても協議されてきたことですが、この事業の対象者を中重度者に設定しているようで、デイサービスのように軽度者の割合が高い場合には、採算がとれないおそれがあります。
 ここでは、小規模多機能型居宅介護事業の採算性について、簡単に検証してみます。


登録定員25人、通いサービスの利用定員15人のケースについて、1月あたりの人件費及び経費と介護収入について比較してみます。

【人件費の計算】
通いサービスの利用定員3人につき1人の従業員が必要ですから、5人の通い対応の従業員が必要です。
さらに、訪問対応1人と、夜勤1人、宿直1人が必要です。
また、介護支援専門員が1人必要です。(管理者兼務とします。)

昼勤務8時間(時給1000円)、夜勤16時間勤務(時給1250円)、宿直16時間勤務(時給700円)とすると、1日あたり79,200円の人件費がかかります。
この人件費1ヶ月につき30日分と、介護支援専門員の月給分(月給28万円とします。)を合算して、1月あたり265万6,000円の人件費がかかります。

【法定福利費】
法定福利費はおおむね人件費の15%として計算し、398,400円となります。

【経費】
経費については、簡単に1月あたり50万円とします。

【支出合計】
以上より、1月あたりの支出合計は、355万4,400円となります。・・・(A)


【介護収入】
平均要介護度が1〜3の場合について、それぞれ計算してみます。
(簡単のため、食事費用や宿泊費用については考慮していません。)

1.平均要介護度が1の場合
 介護収入=25人×単位数(11,430)×10円(その他地区の場合)=2,857,500円

と計算でき、(A)と比較すると約70万円の赤字で、しかもイニシャルコストとして建築費用をかけた場合には、それも回収できないということになります。

2.平均要介護度が2の場合
 介護収入=25人×単位数(16,325)×10円(その他地区の場合)=4,081,250円

と計算でき、(A)と比較すると約52万円の黒字です。
この黒字分から建築費用を返済していく必要があり、登録者が100%として計算している点を考慮すると、非常に厳しい数字だと思います。


以上より、小規模多機能型居宅介護事業では、ある程度要介護度の高い利用者を対象としないと採算がとれないおそれがあり、イニシャルコストとしての建築(新築又は改修工事)費用とのバランスを考慮する必要があると思われます。

小規模多機能型居宅介護の考え方

小規模多機能は「通いを中心に泊まりと訪問を柔軟に組み合わせてサービスを提供する」と言われてます。
しかし、大きな落とし穴がありますので気をつけてください。 


1.生活の場は在宅です。
当然ですが、在宅生活を支える事業だから、小規模多機能も在宅への訪問介護が中心になる必要があります。
訪問介護は大切だけれど、通所介護に重点を置くようにするのが大事です。

2.多くの小規模多機能は、登録定員25名・通い15名・泊まり9名で運営しています。 実務面からは、泊まりは7名がベストかもしれません。

3.泊まりの採算性を考えると連泊者を入れることになるでしょうが、臨時の泊まりを受け入れるので6名前後で抑える必要があります。もし9名が泊まれば通いは15名定員だから、泊まり明けの通い利用者以外は6名だけになります。

4.25名の登録を考えれば、泊まりの9名と通いの6名以外の10名にはサービスが提供されません。10名への サービスは訪問である必要があると言うことです。

5.介護施設を地域に拡散させたのが小規模多機能の基本的考え方です。
施設だと朝の安否確認から起床ケア、朝食に服薬確認です。
在宅だから一度に行いますが、安否確認と服薬確認、健康確認。
小規模多機能は中学校区で考えるのは狭い範囲だから全員の家を訪問することが容易です
@朝の訪問で体調が良くない方は、通いへ。
A施設での通い利用で看護職員による健康管理等を行います。
Bお昼も食事が取れない方は通いで食事だけでも良いわけです。                   C夕方の訪問で体調が悪い時には泊まりサービスへ案内します。

訪問サービス員は無資格でも可能ですが、連携して様々な判断を下す必要があります。
通いの送迎も、拒否されれば何かがあります。
その場で訪問サービスに切り替えて様子を観察することが大事です。
通いが中断すれば連携して他の職員が送迎に行けばいいだけです。
柔軟なサービスとはどこまで柔軟なのか…です。

2012年からは、ディサービスに泊まりと時間延長のサービスが加わりました。
それに24時間地域巡回型訪問介護が加われば小規模多機能の存在意味を疑われます。
それでも小規模多機能にしか出来ない事が一杯あります。
良く良く考えて全員で運営していくことが大事です。