居宅介護支援事業とは、居宅介護支援事業所に所属する介護支援専門員(ケアマネジャー)が居宅サービス計画(ケアプラン)を作成し、それに基づきサービスの提供が確保されるように各サービス事業所との連絡調整を行うサービスです。

 他のサービス事業者と異なるのは、要介護と認定された人に対するケアプラン作成の費用は全額介護保険から給付されることです。

 また、建前はともかく、介護支援専門員(ケアマネージャー)は要介護認定された方のことを考えて最適な事業者を選択し、公正中立にケアプランを立てないと駄目なはずで、それが介護支援専門員(ケアマネージャー)の使命のはずです。

 しかし、事業自体があると自身の事業所の稼働率をあげるのに有利なため、事業自体は下記の収支差率のとおり赤字事業となっていますが、営業活動の一環ともなるため、併設すると自身の営業に有利に働くのは事実です。実際、居宅介護支援事業を行う事業所の多くは他の事業との併設という形式になっています。

 ただし、紹介が特定の法人に偏りすぎると(90%超)、特定事業所減算として単位が減算されます

介護保険制度の指定基準(人員基準・設備基準・運営基準)は、行政によって条件に差異はありますが、要約すると下記のような基準となっています。

 下記で人員基準で管理者と介護支援専門員の指定基準が必要ですが、兼務可能なので極端な話その地域での指定基準を満たせば介護支援専門員の資格をお持ちの方であれば1人でも開業できます。

 実際に開業する際にはその自治体で確認することが必要です。

 【人員基準】

名称 

役割 

人員基準 

管理者 事業所全体の統括管理者

常勤者1名

・介護支援専門員の資格が必要

・介護支援専門員と兼務可能 

介護支援
専門員
ケアマネジメントの実行者

・事業所として担当するご利用者様の人数が35名又はその端数を増すごとに1名が標準

・介護支援専門員の資格が必要

【設備基準】

 指定基準

 指定居宅介護支援事業者は、事業を行うために必要な区画を有するとともに、指定居宅介護支援の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない(都道府県によって別に条件がある場合あり)。

 介護保険点数のうち基本単位部分は下記のようになります。(平成24年度以降)

基本単位 居宅介護支援費

居宅介護支援(Ⅰ)

(月40件未満)

要介護1,2

1,000単位

要介護3,4,5

1,300単位

居宅介護支援(Ⅱ)

(月40件以上の場合の月40件以上60件未満に係る部分)

要介護1,2 

500単位

要介護3,4,5

650単位

居宅介護支援(Ⅲ)

(月40件以上の場合の月60件以上に係る部分)

要介護1,2 

300単位

要介護3,4,5

390単位

 介護予防居宅介護支援費

412単位

 この事業では、担当件数が40以上60件未満で39件を越える部分については1件当たりの基本単位が少なくなり、60件以上を担当すると59件を越える部分ではなく、39件を越える部分全ての保険単位の減算がなされ、逆に点数が少なくなってしまいます。

 例えばケアプランの作成対象者が全て要介護1,2であった場合

60件を担当した場合は

39×1,000+(59−39)×500+300=49,300単位となり

59件を担当する場合は

39×1,000+(59−39)×500=49,000単位となります。

 このように居宅介護支援事業では取扱件数が40件、60件を境に同じ業務をこなしていても報酬が下がってしまいます。

 月60件以上を担当すると60件以上の部分は要介護1,2で500単位、要介護3,4,5で650単位となり金額に直すと報酬が5,000円から6,000円程度にしかならず、今度は居宅介護支援は月60件以上を無理に担当すると業務をうまくこなせなくなり、運営基準違反が起きるリスクのほうが心配になってきます。

 運営基準違反のペナルティが居宅介護支援では非常に厳しくなっており

1か月の運営基準違反で所定単位数の50/100を算定する

2か月以上の運営基準違反で所定単位数を算定しない

となっており、2か月以上の運営基準違反ではただ働きになることもあり得ます。

 そのため、利用者からの居宅介護支援の依頼が多くあるのであれば、居宅介護支援事業そのもので利益を出そうと考えるのではなく、他の介護事業を併設することにより、利用者が併設する介護サービスを利用するよう上手に勧めることにより、他の介護サービスの営業のような役割に徹し、運営基準違反にならないような体制つくりに徹したほうが賢明です。

 居宅介護支援事業でケアプランに基づき提供される介護サービスでなければ介護保険の対象にならないというのはある意味居宅介護支援事業が持つ他の介護サービスにない強みです。その強みを生かせば、併設する介護サービスの利用者を増やすことにもつながり、この強みを生かした経営を行うことが重要です。

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