訪問介護・通所介護(デイサービス)等介護事業開業・創業には指定を受けなければなりません。

 指定を受ける前提として次のような条件を満たしていなければなりません。

・法人であること

・人員基準を満たしていること

・設備基準を満たしていること

・運営基準を満たしていること

 ただし、「施設サービス」については株式会社・合同会社等の営利法人は参入できません。

 施設サービスに算入できるのは施設サービスの種類によって異なりますが、社会福祉法人又は医療法 人のみの業務です。

 社会福祉法人は設立に許認可が必要でその許認可は厳しく、医療法人は医師又は歯科医師が必要なので多くの方にとっては実質的に参入できません。

1.訪問介護事業所の設備基準は法令にて次のように定められています。

種  別 内    容
事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室 ◆間仕切する等他の事業の用に供するものと明確に区分される場合は、他の事業と同一の事務室であっても差し支えない。
◆区画がされていなくても業務に支障がないときは、指定訪問介護の事業を行うための区分が明確に特定されていれば足りる。
◆事務室又は区画については、利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保する。
指定訪問介護に必要な設備及び備品等 ◆特に、手指を洗浄するための設備等感染症予防に必要な設備等に配慮する。
◆他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定訪問介護の事業又は当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができる。

※事務室、設備及び備品等については、必ずしも事業者が所有している必要はなく、貸与を受けているものであっても差し支えない。

上記法令を簡明に表現すると
まず、訪問介護事業所には、
  「事務スペース(事務室)」  と
  「相談スペース(相談室)」
が必要になります。事務スペース・相談スペースは壁で仕切られた「部屋」となっていてもOKですし、一つの大きな部屋を間仕切り・ついたて・パーティーション等で区分したものでも構いません。それぞれの部屋が機能を果たすために必要な広さが確保できていればOKとなります。

事務スペースの役目は、その名の通り、
  「訪問介護に関する事務を処理する場所」
となります。訪問介護事業所には人員基準で記載したように「管理者」「サービス提供責任者」といった常勤の職員が必ず最低でも1名は存在することになりますので、その方が事務処理を行うスペース(机といす)と、他の常勤職員が事務処理を行うためのスペース(机といす)が必要です。よって、常勤職員が3名の場合は、3名分の机といすを設置できるスペースは最低でも必要になりますし、常勤職員が4名の場合は4名分の机といすを設置できるスペースが必要になります。(その他書棚なども必要になりますので机といすを置くだけでギュウギュウになってしまってはダメです)
 
事務スペースを最低限の広さで確保したいということならば、事務用のスチール机を3つ、4つと置いていると机の面積だけで4〜5畳になってしまいますので、家庭の食卓で使用しているようなテーブルを一つ用意して3〜4人で使用したり、折り畳み式の長机を2つあわせてそれをみんなで使用することになります。

相談スペースはの役目は、「利用申込みの受付・利用者からの相談受付」「ケアマネージャーとの打ち合わせ」「事業所職員との打ち合わせ」等に使用するスペースとなります。必要な広さは、
  「4名が同時に話をすることができるか?」
です。テーブル一つといす4つが置くことができ、4人の人員が無理なく座って会話ができればOKとなります。
洒落たテーブルやソファーを置く必要はありません(もちろんスペースが確保できれば、おいていただいても構いません)。パイプいす4つと、4名分の書類(ノートや印刷物等)が置くことができるテーブルがあれば基準はクリアできます。

以上より、事務スペースと相談スペースに必要な広さですが、常勤職員が3〜4名の場合は、だいたい、
  事務スペースは約6畳分の広さ
  相談スペースは約3畳分の広さ
となります。
6畳と4畳半の部屋がある物件ならば、その部屋をそれぞれの用途に使用していただいても構いませんし、9〜10畳ぐらいの部屋をパーティーションなどのついたてで区切っていただいて使用していただいても構いません。
 
なお、上記の説明は「訪問介護事業」のみを行う場合で記載していますので、「居宅介護支援事業所」などの他の訪問系介護サービスを併設させる場合は、若干事務スペースが余分に必要になります。

事務所内の設備についてですが、感染症の予防のために「手洗いの設備」に関して設置が求められています。
 
通常、住居用のマンションやアパートを訪問介護事業所として賃貸すれば、「水面所」や「台所の炊事場」といった水道設備があらかじめ備え付けられているはずですので問題ないはずです。
 
オフィス用のテナントを賃貸した場合は、各部屋に水道設備が設置されているところもあれば、「一つの階で共用」となっているところもあるでしょう。
各部屋にそれぞれ水道設備が設置されていれば、その水道を手洗い場として使用すれば問題ありませんが、共用の手洗い場であっても同じ階に設置されていれば、「水道設備まで数百メートル歩く必要があります」というようなことがない限り、問題ありません。(もちろん、その共有の水道設備を感染症防止のための手洗い施設として使用が許可されることが前提ですが)

訪問看護や居宅介護支援事業所といった他の介護サービスと併用する場合は、
「相談スペース」や「手洗い設備」といった「訪問介護事業所が絶えず使用しておらず、他の事業に使用しても訪問介護の事業に支障がない部分」
に関しては、共有して使用することができます。たとえば居宅介護支援事業所と訪問介護事業所を併設させた場合、事務スペースはそれぞれの介護事業にて確保する必要はありますが、相談スペースや手洗いスペースをそれぞれ2つ用意する必要はなく、訪問介護事業と共有するので1つずつ、ということが可能です。

その他、必要な備品として、
  ・書類を保管するための「鍵がかかる書棚・書庫」
  ・電話機・FAX機(一体型のものでもOK)
  ・パソコン
  ・手洗い用の石けん・消毒液

がありますが、購入すれば何とでもなりますので、今の段階ではそれほど深く考える必要はありません。

自宅で訪問介護事業所を開業させることができるか?

よく受ける質問の一つに「訪問介護事業所を自宅で開業できますか?」というものがあるのですが、この質問に関しては事業所を設置する都道府県・市町村によって対応が分かれます。
 
まず、日本全国どこの都道府県・市町村でも共通の認識が、
 
住居スペースと介護事業所のスペースが完全に区分されており、訪問介護事業所としての独立性が保たれていること、となります。


A市では、「住居スペースと介護事業所に使用するスペースがきちんと区分できるならば、自宅での開業もOK」。4LDKや5LDKといった比較的大きな自宅を所有し、その自宅にて生活している人員が2〜3名ということであれば、空き部屋が訪問介護事業所として使用できる可能性があります。
 
ただし、生活スペースと介護事業所のスペースを完全に区分し、事業に関係のない家族が事業所スペースに入ってくることを防ぐため、事業所の入り口に鍵を設置する必要があったり、生活スペースと事業所の使用部分が共有する部分(玄関や廊下の部分)をなるべく少なくするために、玄関近くの部屋でしか開業できないなどの制限は付きます。

B市では、「生活スペースと介護事業所のスペースを完全に区分し、関係のない家族が事業所スペースに入ってくることを防ぐため、事業所の入り口に鍵を設置すること」
この要件に関しては兵庫県と一緒ですが、その他にも、
 
「玄関(入り口)が住居用と事業所用というように別々に確保できること」
「感染症防止の為の手洗い施設・トイレが住居用と事業所用と別々に確保できること」
 
という要件も課されます。
 

お問合せ・ご相談はこちら

要介護認定高齢者でご自宅での介護が困難な方、退院後のケアが必要な方に高齢者施設をご紹介いたします。
また、相続対策で土地有効活用をお考えの土地オーナーの皆様のためのサービス付き高齢者向け住宅立上げセミナーを開催いたします。